大阪へ出かけてきた。ちょうど全日空の超割期間のため、九州とセットで行ってきた。＜ＡＮＡ超割＆エアレール＝九遊きっぷ＞を利用して、北九州の未乗区間と松浦鉄道、島原鉄道を走破。下関で一泊の後、大阪までの移動の途中に山陰本線幡生−益田間に乗車し、厚狭から山陽新幹線で大阪入りした。帰りは、近畿圏で唯一未乗となっている近江鉄道を片付けて、近畿圏の鉄道が完乗となった。

１日目（福岡−有田−伊万里−有田−早岐−諫早−加津佐−諫早−博多−下関）

ＡＮＡ博多上空遊覧飛行

　羽田を６：３０分に発つ全日空福岡便に乗るべく、検見川浜駅５：０４発の京成リムジンに乗り込んだ。羽田ターミナルへは早着することなく時間通りの到着で、いささか慌しい。最初の停留所の日本航空前で降りて、全日空カウンターへ急いだ。１０月に購入しておいた超割きっぷで、席番は６Ａ。ＡＮＡ９８１便は、Ｂ７７７−200機による運航である。朝一番の福岡便なので空いていた。定刻に１７番ゲートを離れて後退し始め、Ｃ滑走路から飛び上がった。一面の雲の中から太陽が輝く上空に出ると、安定した飛行となった。「機長は清水、客室乗務員は８名、到着地の天候は曇りで、気温は９度」とのアナウンスが流れる。客室乗務員には男性のメンバーがいた。全日空では初めて遭遇した。
　富士山も琵琶湖も瀬戸大橋も雲の下で全く見えないまま、福岡空港に向けて降下を始めた。志賀島上空を過ぎて博多湾が見えてきた。そのまま降りてゆくのかと思っていると、何時もと航路が違う。どうやら今日は南側から着陸するらしい。やがて福岡市の中心街・天神の真上を通過する。西鉄福岡駅が真下だ。私の本籍地の家を上空から訪問する。西鉄に沿って南下し、やがて新幹線博多総合基地の上空で左に大きく旋回した。ちょっとした福岡上空遊覧飛行である。それにしても、福岡の町は開けたものだ。あそこが福岡空港ですよと誘導されるように、南側からドスンと着陸した。
　福岡空港へは１０分遅れて８：２０分頃、４番ゲートへの到着である。２週間前の沖縄→福岡便はＡＮＫだったのでバス連絡の上第１ターミナルだったが、今回は第３ターミナルへ直接着いた。荷物は預けていないので、そのまま到着ロビーを抜け、地下鉄駅に急いだ。ホームには、２０００系６連姪浜行きが止まっていた。

・検見川浜５：０４→羽田空港６：００
・東京羽田６：３０（ＡＮＡ９８１便／B772）→８：１０福岡
・福岡空港８：１５（市営地下鉄）→博多駅　　＊2000系６連（２０１０に乗車）

長崎・佐世保線｢白いかもめ」・「みどり」

　博多駅のＪＲ九州・みどりの窓口に並ぶ。１０数ケ所のカウンターが全部開いていたが、朝の出勤時なので結構列が出来ていた。係員が整理している。超割切符の半券を提示して「エアレール・九遊きっぷ」を購入する。３０００円でＪＲ九州全線乗り放題（特急列車含む）となる。今年二度目の利用である。＜（企）九遊きっぷ（乗車券・Ｂ自由席特急券）九州旅客鉄道会社線全線＞の本券のほかに、ご案内券とクレジットカード利用票が各々１枚付く。＜Ｃ制＞表示は印字されていた。７月に宮崎空港駅で購入した際には、やたら券面にゴム印が押印されたが、今回はスマートである。但し、「びゅーカード」なのでサインを求められる。
　飛行機と鉄道の乗り継ぎが上手く行き、当初の予定より１本早い「かもめ７号」に乗る。車両は白いかもめ（ソニック型）で運転される。編成は６連で、１〜３号車までが指定席。このうち１号車の半室はグリーン車である。４〜５号車が自由席。６号車は喫煙車の自由席と指定席が半分ずつ。座席カバーで区分している。喫煙車の指定席を丸々設けないで、自由席と混在させる邪険な扱いは結構なことだ。車内に入ると、レザー張りの座席、不燃処理された木材の床で、他社ではグリーン車でも通用するような内装である。但し、満席であった。幸いなことに１席だけ窓側が空いており、そこに座る。
　９：００分になったが、なかなか発車しない。博多駅構内の信号待ちとのこと。５分延で発車した。振り子機能を生かして快調に走る。鳥栖から長崎本線に入る。佐賀駅手前で左側に沿って線路跡らしき道路が見えた。旧・佐賀駅は今の佐賀駅より南側にあったのでその跡と思われる。
　佐賀で大量下車があった。半分くらいが降りた感じだ。両県庁所在地間は、西鉄高速バスに対抗して、かもめ、みどりで頻発運転を計り、ＪＲが乗客を奪い返した。肥前山口で下車。佐世保線に乗り換える。
　肥前山口駅は橋上駅の工事の真っ最中であった。駅の南側を歩いてみたが、ＳＬ時代にあった機回しのデルタ線は、区画整理で痕跡が解からなかった。
　上りホームで、７８３系の「かもめ」＋「みどり」の併結作業中であった。先に「みどり」が到着し、誘導係の手旗により、後ろに「かもめ」をつないだ。青旗と赤旗の柄の部分を水平に示して連結を示す合図は、全国共通のようだ。
　肥前山口から、ハイパーサルーン７８３系「かもめ５号」＋「ハウステンボス５号」に乗車する。「みどり」編成に乗車し、未乗の佐世保線へ踏み出す。実は、肥前山口−早岐間は乗ったかどうか記憶が定かではない。疑わしい時は積極的に乗るようにしている。電化されてから初めて乗ることは確かである。車内改札が回って来る。有田に着いた。ここで松浦鉄道に乗り換える。
　

・博多９：００（かもめ６号）→９：４６肥前山口　＊８８５系６連（サハ885-10に乗車）
・肥前山口１０：１３（特急ハウステンボス５号6005H/みどり５号4005M）→１０：４０有田
　　＊７８３系８連（クモハ783-8に乗車）

松浦鉄道・有田−伊万里

　有田駅のＪＲ線と松浦鉄道とは同ラッチである。但し、線路は切れてしまった。これから乗る区間は、旧・国鉄伊万里線で、ここは確実に乗ったことがない。
　３番線からの発車となる。ＭＲ型と称する車両で、平成4年新潟鉄工製の軽快気動車である。しばらくＪＲ線と並走した後、ＭＲ線は右へ分かれる。蔵宿でＡＴＳが作動し、パンポンパンポンと警報持続装置が鳴っている。交換駅は脱線ポイントである。電子閉塞式が採用されている。
　伊万里まで一往復する。伊万里はＪＲ筑肥線方面には直通する線形だが、松浦・佐世保方面にはスイッチバックする形となる。但し、駅前の区画整理でＪＲと松浦鉄道の駅舎は別々に改築され、線路が切られた。もったいない。
　同じ車両で有田に戻る。運転士は交替した。松浦鉄道では１日乗車券を出している。平日用は2000円、休日用は1700円との掲示が出ていた。今回は単純往復なので４００円×２を現金払いした。終点の有田では、料金箱に運賃や切符を入れると、運転士が「精算済票」をくれる。これをもって有田駅改札、ないしＪＲ線に乗り継ぐ。

・有田１０：４７（松浦鉄道６１５D）→１１：１１伊万里　　＊ＭＲ−１２５
・伊万里１１：１５（松浦鉄道６２０D）→１１：３８有田　　＊ＭＲ−１２５

大村線、ハウステンボス

　有田から「みどり７号」に乗車する。今回も７８３系ハイパーサルーン型である。直ぐに早岐に着く。早岐は佐世保方へスイッチバックする形なので、かつては機関区が置かれた大駅だった。今でも構内は広い。
　同じホームの反対側に、「ハウステンボスリレー号」が停車中だった。特急が運転されない時間帯では、「みどり」に接続して１駅だけ運転される連絡列車である。キハ６５の２連で、５０．３新幹線博多開業ダイヤ改正で筑豊本線に登場した転換シートの快速用気動車だった。いまは、青いシーサイド塗装に塗り替えられていて、大村線で運用されている。１駅でハウステンボスに着いた。列車はここまでなので、降りてハウステンボスを見学に行く。川のように見える海を橋で渡ると、ＪＲ全日空ハウステンボスホテルがそびえたつ。ハウステンボス・ブームが去ってしまっているので、閑散としている。入場ゲートまで行くと結構なお値段の入場料だった。ハウステンボスホテルでトイレだけ借りて出てきた。贅沢な作りは、バブル絶頂期そのものだろう。
　駅に戻る。女性駅員２名での営業である。駅の直ぐ南側にトンネルがあり、そこで電化の架線が切れている。ここから先は非電化である。ハウステンボスから「快速シーサイドライナー９号」に乗車する。やってきた列車は、新型のキハ２００系であった。空いていたので転換シートの窓割りのいい部分を選んで座る。発車して直ぐのトンネルを抜けると、南風崎駅を通過する。南風崎（はえのさき）＝この大村線の小駅の名前をかつて全国区にする出来事があった。それは、第２次世界大戦後の中国大陸からの引揚船が、この南風崎港に着き、ここから全国各地へ引揚列車が運転されたことである。
　「快速シーサイドライナー」は大村湾の海岸線に沿って快調に走る。かつて、急行「平戸」で走った経験があるが、大村線のイメージが思い出されてこない。あらためて乗ってみると、とても風光明媚な線区である。大村で大量乗車があり、長崎へ向けての流動が大きいことが解かる。左側から長崎本線が近づいてきて諫早に着いた。

・有田１１：４８（特急みどり７号4007M）→１１：５９早岐　＊７８３系８連（13号車・モハ783-114に乗車）
・早岐１２：０１（ハウステンボスリレー号8227D）→１２：０７ハウステンボス　＊キハ66-12＋キハ67-12
・ハウステンボス１２：４３（大村線快速シーサイドライナー９号/3229D）→１３：２８諫早　＊キハ200-15＋キハ200-1015

島原鉄道・諫早→加津佐

　諫早で島原鉄道に乗り換える。島原鉄道は子供の頃Ｃ１１だか１２が引っ張る列車を見たことはあるのだが、乗ったことがない。いや、かつて島鉄が国鉄博多駅まで急行併結で乗り入れていた時代、島鉄のキハ５５００に国鉄線内で乗ったことはある。しかし、島鉄自体は今回が初乗車となる。
　諫早駅ではＪＲ線とホームは共用で、出改札はＪＲに委託している。渡り線は撤去されずそのままである。これから島原半島を一周してくる。そのため、島鉄の鉄道、バス、フェリー、それに温泉に１回入れる島鉄１日フリー乗車券「島原半島・遊湯券」（２８００円）を購入する。但し、島原駅はＪＲの駅で島鉄が営業していないので、切符を扱っていない。ＪＲ駅前には島鉄バスターミナル（２階以上は島鉄ターミナルホテル）があり、その切符売り場で購入しなければならない。少々面倒である。横断歩道を渡り、なかなか変わらない信号にイライラしながら買いに行った。
　ホームに入ると、NIIGATA2001の製造表示のあるキハ２５５１号車が止まっていた。ＪＲのキハ１２５と同系の車両でワンマン運行である。一番前の横座席が空いていたのでそこに座る。次の本諫早では、駅長さんが出迎え、発車ベルが鳴って発車した。各駅とも結構な乗降がある。森山、古部、西郷、三会で交換しながら進む。有明海の直ぐ脇を走る区間もあり、景色は極めてよい。多比良町では下車があった。有明フェリーに乗り継ぐのだろうか。多比良町はサッカーで有名な国見高校のある町である。発車間際におばあさんがやってきた。列車はいったん停車して構内踏切を渡ってくるおばあさんを待った。
　島原に着いた。駅舎が島原城風に建て換わっており、駅長の発車ベルの発車合図で出発する。一昔前の国鉄の趣を残している。次の島鉄本社前で配給品を積み込んだ。各駅に下ろしてゆく。南島原には車庫がある。運転士が交替し、その間に給油が行なわれた。営業列車で給油に遭遇したのは初めてのことである。
　島原外港で各方面のフェリー接続案内が流れる。ここから先は、雲仙普賢岳噴火の火砕流の直撃を受けた区間に入る。鉄橋を架け、コンクリート高架区間を新設したりする災害復旧工事が行なわれたところである。右側にそびえ立つ普賢岳は不気味な感じがする。深江を過ぎると天草が見えてきた。近くの中学校らしき校庭でボールゲームをやっていた。おそらく体育の時間なのだろう。サッカーかハンドボールかと思っていると、何とタグラグビーだった。
　島原の乱の最後の攻防地・原城を過ぎる。徳川幕府の弾圧政策で、このあたりは一時人口が極端に減った。そのため、乱鎮圧後各地から移住させる政策が採られた。島原名物の手延べそうめんは、小豆島からの移住者が持ち込んだものだ。また、雲仙普賢岳噴火の際に有名人になった白ヒゲの島原市長・鐘ヶ江氏の「鐘ヶ江」という姓は、有明海を挟んた対岸の大川市に特有の名前である。彼の祖先も移住者だったにちがいない。
　口之津は片ホームの駅だった。かつて、三池炭鉱の石炭積出港として栄えた港町である。有明海は遠浅のため、大型船が就航できず、対岸にある大牟田の三池港から積み出される石炭は、ザッパ船というはしけで口之津まで曳航され、ここで外港船に積み替えて各地へ運び出していた。大牟田の三井炭鉱の発展は、長崎県の島原半島のくちばしの位置にある口之津港に支えられていた。町には国立の船員学校まであった。

　３時間近くかけて、終点の加津佐に着いた。運賃表示は１９７０円を指していた。線路がプツンと切れており、島原半島一周の路線にはならなかった。駅前には、海水浴場がひろがり、海の家や民宿が並んでいるが、今は閑散としている。ここからはバスで諫早に出る、鉄道で３時間かかったところを、バスは１時間半で行く。
　島鉄の到着にあわせて、加津佐駅前を通過する長崎県営バスがあるのだが、「遊湯券」は島鉄バスしか使えない。４０分余り待って、島鉄バス「諫早駅」ゆきに乗車した。日本初のＩＣ非接触式バスカード「長崎バスカード」（平成１４年１月２１日スタート）を採用しており、西肥、佐世保市営、島鉄、県営、長崎バス、さいかい交通が共通で使える。バスは暗くなった道を走る。一番前の座席だったので、左側の海と前方の景色を眺める特等席だった。小浜温泉の旅館街の小浜発着所で少々時間調整。運転手がどこまでか聞いてきたので、終点までと答えておく。
　小浜ですっかり暗くなってきた。ここから先は、レンタカーで走ったことがあり、路線は頭に入っている。愛野展望台を過ぎ、愛野の町並みに降りてくると、夕方の渋滞に引っかかった。諫早市内までノロノロ運転となる。諫早駅でのＪＲへの接続は１５分ほどあったが、だんだんと不安になってくる。結局１０分以上遅れて諫早バスターミナルに到着した。運賃は１３００円。鉄道＋バスで合計３２７０円かかるところを、「遊湯券」を利用したおかげで２８００円で乗れたことになる。到着するやいなや、諫早駅まで走った。

・諫早１３：４４（島原鉄道）→１６：２４加津佐　　＊キハ２５５１
・加津佐駅１７：０７（島鉄バス）→１８：３３諫早駅　＊長崎２２　か２４−９８

諫早−博多−門司−下関

　諫早から博多行きの特急「かもめ３８号」に乗車する。白いかもめ（８８５系ソニック）で、朝乗った列車と同じ形式である。長崎から来た列車は諫早で大量下車があり座れた。４〜６号車が自由席だがほぼ満席である。肥前鹿島、肥前山口、佐賀、鳥栖、二日市と止まって行くが、佐賀では立ち客まで出る盛況ぶりだった。それにしてもよく揺れた。
　博多で階段を渡って門司港行きの特急「きらめき２号」に乗り継ぐ。「かもめ」が遅れた影響で、乗り込むと同時にドアーが閉まった。乗り継げたのはいいが、満席で座れない。予想外の事態だ。「きらめき」は、通勤特急の役割を果たしており、定期券＋５００円で乗れる。４連の７８７系「有明」編成を使って運行しているが、車掌は２名。車内発券で忙しく回っていた割りに、取りこぼしが多数あったように見えた。１両に１名の車掌を貼り付けないと徴収しきれない。列車は通勤特急なので、福間、東郷、赤間、折尾、黒崎、八幡、戸畑、小倉、門司と止まってゆく。次の福間で大量下車があり、さっそく座れた。赤間で立客がいなくなった。
　門司で普通・下関行に乗り換える。ステンレス製の４１５系４連で、ＪＲになってからＪＲ九州では交流専用車ばかりを作っているので、関門トンネルを通過できる交−直両用車は、国鉄時代の古い形式ばかりとなっている。この４１５系の座席はロングシート化されていた。門司を発車すると室内灯が消えて交流から直流への切替が行なわれる。その間、予備灯がついているだけである。あっという間に本州に戻ってきた。同じホームの反対側には、１１７系から改造された１１５系３０００番台が接続を取って発車していった。直流電車を見ると、九州の臭いが急速になくなってゆく。
　下関駅前は再開発が行なわれている。でも、すでに真っ暗である。駅前にある＜下関・東急イン＞へ投宿する。ふぐでも食べようかと思っていたが、ホテル内のレストランは営業を終了していた。あすは早起きである。ＪＲ西日本直営の構内コンビニで買って来たビールを一缶飲んだだけで寝てしまった。

・諫早１８：４８（特急かもめ３８号/２０３８M）→２０：１９博多　＊８８５系６連（モハ885-11に乗車）
・博多２０：２５（特急きらめき２号/７０M）→２１：２３門司　　＊７８７系４連（モハ786-1に乗車）
・門司２１：２８（２６０M）→２１：３４下関　　＊415系1500番台４連（モハ414-1517に乗車）
　（下関東急イン）

２日目（下関−長門市−仙崎−長門市−益田−長門市−厚狭−新大阪）

山陰本線・下関口

　朝４時過ぎに起きる。まだ真っ暗である。チェックアウトをしながらフロントマンに尋ねると、明るくなるのは７時過ぎとのこと。用意してきた普通乗車券は、「門司→益田　経由：山陽・山陰、２９７０円」と、「益田→稲毛　経由：山陰・美祢線・厚狭・新幹線・東京・総武、１３７６０円」の２枚。
　下関駅ホームに上がると、既に列車は入線していた。キハ４０の２連で車掌が乗務する。５：４４分、下関をエンジンを轟かせながら出発した。幡生から山陰本線に入る。
　小串でキハ２８系の３連とすれ違った。少し明るくなって、油谷湾が見えてきた。木造駅舎が立派な長門古市で高校生が大量下車し、少し空く。それにしても今日は土曜日なのに、この先でも通学生がいっぱいである。山口県の高校は土曜日休みではないのだろうか。
　長門市に７：４５分についた。直ちに仙崎支線に乗り換える。今度はキハ１２０の単行運転である。１駅で仙崎に着いた。何か側線がいっぱいある構内をイメージしていたが、片ホームの行き止まり駅だった。仙崎は、仙崎カマボコで有名だが、最近は金子みすずの故郷で売り出し中だ。駅前から真っ直ぐ伸びる道路は、金子みすずロードと名づけられている。８分の滞在で同じキハ１２０に揺られて長門市に戻る。
　長門市で１時間近く待ち時間がある。駅前を散策するも何もない。「みんなで守ろう、特急いそかぜ」の看板が見える。駅前旅館の個人経営のコンビニで弁当を買う。チンしてもらって温かいご飯をいただく。

　待合室で稚内から来た乗り歩きファンと親しくなった。超割とエアレール、青春１８きっぷの旅の最中とのことであった。お互いに情報交換しながら、益田まで行くことにする。２時間近く走るが、列車はトイレのないキハ１２０の単行運転である。山陰地方、中国山地の横断線などでのキハ１２０の運用には一考を要する。
　雨が降ってきた。海岸線を見え隠れしながら走る。終点・益田では、山陰本線と山口線が接続する。益田まで乗った時点で山陰本線は、東西の両端・京都−江津、益田−幡生間を制覇し、中間の江津−益田間が未乗で残った。せっかくここまで来たのだからいっぺんに乗り潰したいのだが、夕方から大阪で所用がある。ここで引き返すことにする。残念！！
　稚内のファンさんは山口線へ、私は益田−長門市を今来たばかりの線路を同じ車両で戻る。須佐で１８１系気動車特急「いそかぜ」とすれ違った。奈古では高校生の大量乗車があり、１両の列車なのでドアーが閉まらない程になった。運転士が後部ドアーまで行って整理を始めた。
　彼ら・彼女らは東萩で下車。代わって、萩工業と名入りのカバンを持った高校生が乗ってきた。車内でジベタリアンを決め込み、お母さんの作ってくれた弁当を美味しそうに食べ始めた。でも、どこか憎めない。「天然に育っている」感だ。こんな高校生を指導する教員の力量が試されている。

　長門市で美祢線・厚狭行きに１分で接続する。こちらもキハ１２０の単行運転である。美祢線は石灰石の貨物輸送で活況を呈してきたが、荷主の小野田セメントが石灰石輸送に鉄道を使わないようになってきたので、すたれている。かつての栄華をしのぶように、交換駅の線路有効長は長い。厚狭の手前には信号所もあり、かつての貨物輸送の名残だろう。それにしても運転士は信号喚呼をきちんとやっている。「ホームよし、戸閉めよし、発車。定発、ホームよし・・・」
　厚狭に着いた。かつては新幹線の高架橋が横切るだけで新幹線駅はなかったが、地元の請願で駅が開業した。乗り換え時間は９分しかない。新幹線ホームを見ると、もう列車が入ってきているのが見えた。

・下関５：４４（山陰本線８２０D）→７：４５長門市　　＊キハ40-2077＋キハ40-2119
・長門市７：４８（山陰本線支線１６２３D）→７：５２仙崎８：００（７２４D）→８：０４長門市　　＊キハ120-19
・長門市９：０１（山陰本線１５６６D）→１０：５１益田市　　＊キハ120-10
・益田市１１：０１（山陰本線１５７３D）→１２：５３長門市　　＊キハ120-10
・長門市１２：５４（美祢線７３０D）→１３：５６厚狭　　　＊キハ120-19

山陽新幹線・ひかりレールスター

　厚狭からは、「こだま６６０号」に１駅だけ乗車する。新幹線改札は、在来線と共用のラッチに駅員が一人いるだけの簡素な作りだった。ホームに上がると、既に列車は入線していた。７分ほど停車し、「ひかり」に抜かれる。列車を見て小躍りしてしまった。何と０系なのだ。ＪＲ西日本では０系を大切に使っているが、ビュッフェ部分を「こどもサロン」に改造した編成で、３−２の座席配置ながら、極め付きに空いていた。指定券を持っていたが、その付近にはグループ客が酒盛りをしていたので、別の席に座った。車掌が車内改札に回ってきたが、何もいわなかった。案内放送のチャイムは「いい日旅立ち」である。

　小郡改め、新山口で下車。後から来る「ひかりレールスター」に乗り換える。売店で駅弁を買ってみる。写真を見て一番気に入ったのは、やはり＜ＳＬ弁当＞だった。
　「ひかりレールスター」が８連で到着。初めて指定席に乗ったが、２−２シートなのでとてもゆったりしている。但し、編成が短いので指定席、自由席とも満席であった。各駅ごとの自由席乗車位置付近には長蛇の列。
　座席についているコップ受けの構造がユニークだ。乗車した７号車には車椅子スペースがあるが、その部分のシートは１人掛け構造である。
　徳山で先ほどの「こだま６６０号」を抜く。それ以後も、７００系の威力を発揮して２８５キロの快走が続き、新大阪駅に１６：３４分、定時到着した。同じホームの反対側の「のぞみ号」に乗り継ぐ人がいた。
　新大阪からステンレスの２０５系で大阪まで行き途中下車。阪神電鉄が所有するハービス大阪で所用を済ませる。その後、西梅田から市営地下鉄を乗り継いで谷町９丁目へ。ここで降りて、近鉄上本町駅上にある都ホテル大阪に泊まった。

・厚狭１４：０５（こだま６６０号）→１４：１７新山口　　＊０系６連（26-7032に乗車）
・新山口１４：２６（ひかり３６６号レールスター）→１６：３４新大阪　　＊７００系７０００番台８連（725-7705に乗車）
（都ホテル大阪）

３日目（大阪−近江八幡−八日市−貴生川−多賀大社−米原−東京）

近江鉄道・ガチャコン電車

　さすが一流ホテルだと思わせる都ホテルを早朝にチェックアウト。近鉄で東花園へ行く。所用が終わり、夕方から乗り歩き再開となった。大阪から東海道線の新快速・野洲行きで終点まで。野洲で普通に接続し、近江八幡に着いた。アーバンネットワークは、さすがに早い。
　近江八幡のＪＲ橋上駅舎から階段を下りると、近江鉄道のホームがあった。「本日、ＳＳフリー切符発売中」の表示が出ていた。土・日は近江鉄道全線が５５０円で乗れるフリー切符である。近江八幡を１６：０６分発の２連に乗車。ワンマン運行で、運賃箱が運転台後部についている。車体は見るからに西武鉄道のお古だと解かる。車内には「所沢車両工場改造」のプレートが付いていた。
　２０分弱で八日市へ。近代的な駅舎に建て替わっていた。ここは分岐駅で、駅前通りは整備されて大正時代創業の「近江牛」の肉屋などがある小奇麗な町並になっていた。
　八日市から貴生川へ。小さな単行電車だった。日野や水口などは、降りて散策してみたい。貴生川はＪＲが橋上駅舎となっていた。
　折り返して、高宮まで乗車して多賀線に乗り換える。高宮駅は三角ホームで多賀線が分岐する。近くを新幹線が頻繁に走る。ガラガラのライオンズ塗装の単行電車で、多賀大社まで揺られる。釣り掛け駆動の豪快なモーター音が聞こえる。駅前からは参道続いているが、暗くて人っ子一人歩いていない。しかし、家並みは凝った作りの家が多く、今度昼間に再訪してみたい。
　高宮へ戻り、米原行きに乗り換える。乗り換え時間があったので、待合室で暖を取る。近江鉄道の主要駅は、地元とのタイアップなのか、駅がきれいだ。ここ高宮駅にはガラス張りの暖房の効いた待合室がある。結構なことだ。彦根は右側通行で交換し、終点の米原をめざす。屋外の電光板に、「気温４度」の表示が見えた。伊吹下ろしが寒いのだろう。終点の米原は無人駅だった。木造駅の向かいには、区画整理と改築されたばかりのＪＲ米原駅舎があった。
　中学の修学旅行は品川から修学旅行専用電車「ひので」号に乗って米原で下車し、琵琶湖へ向かった。その頃の米原駅舎は木造のごちゃごちゃした中にあった。あの時、京阪国際観光バス９台が迎えに出ていたのだが、どのあたりに停車していたのだろうか？

・近鉄上本町（近鉄大阪線）→鶴橋（奈良線）→東花園
・東花園（近鉄奈良線）→鶴橋（環状線）→大阪
・大阪１４：４１（東海道線普通）→新大阪１４：４９（新快速）→１５：３８野洲１５：３９（普通）→１５：４７近江八幡
・近江八幡１６：０６（近江鉄道）→１６：２４八日市　　＊１８２１＋８２１
・八日市１７：１０→１７：４８貴生川　　＊２２１　
・貴生川１７：５１→（八日市１８：２８）→１８：４９高宮　　＊１８０１＋８０１
・高宮１９：０４→１９：０９多賀大社１９：３４→１９：３８高宮　　＊２２２
・高宮１９：４８→２０：０７米原　　＊１８０２＋８０２

東海道新幹線・米原→東京

　米原駅東口（ＪＲ西日本）で新幹線自由席特急券を買おうとしたら、クレジットが使えない。西口へ回ってくれということで、「連絡票」をくれた。仕方ないので、ＪＲ東海の乗り換え窓口で買うことにし、有人窓口に申し出たら、「ＪＲ東海エクスプレスカード」以外使えないという。これは失格である。ＪＲ西日本の西口までの長い連絡通路を歩き、改札口に下りたら結構な人数が並んでいた。もう現金にしようかと思ったが、自動券売機でクレジットカードが使えることが解かった。暗証番号を入力すると、サインナシで発券された。これは便利だ。
　西日本の窓口では、「青春１８きっぷ」を売っていた。マルス券ではなく、赤い地紋の軟券だ。久しぶりに軟券の企画切符を見た。
　ＪＲ東海に舞い戻り、ホームに下りたら、乗客はほとんどいない。駅弁屋さんを冷やかしたら、１０５０円の幕の内が１０００円でいいという。駅弁をまけてもらったのは初めての経験である。
　ひかり３２６号が３００系でやってきた。喫煙席の２人掛け部分に若干の空きがあったのでそこに座る。どういうわけか、煙ったくなかった。車内チャイムは、アンビシャス・ジャパン！　岐阜羽島、名古屋、小田原、新横浜に停車する。小田原で大量下車があり、半分ほどになった。次の新横浜でさらにガラガラになると思いきや、横浜スタジアムで何かのイベントがあったらしく、通路まで立ち客で満員になった。お盆の帰省ラッシュ並だ。
　そんなこんなで最後は大混雑の新幹線となった。東京駅乗り換え精算窓口で、「無効印」を押して貰おうと思っていたが長蛇の列。空いている八重洲中央新幹線出口をいったんラッチ外へ出た。ここで「無効印」を押してもらった。乗車券には、「海東京」の途中下車印が押印された。
　総武快速までかなりの時間がかかったが、無事新検見川まで戻ってきた。

・米原２０：２８（ひかり３２６号）→２２：４３東京　　＊３００系１６連（329-59に乗車）
・東京２３：０２→津田沼→新検見川

＜今回初めて乗った区間＞

・佐世保線、肥前山口−早岐　　＊全線完乗
・松浦鉄道、有田−伊万里　　　＊全線完乗
・島原鉄道、全線　　　　　　　　　＊完乗
・山陰本線、益田−幡生
・山陰本線支線、長門市−仙崎
・美祢線、厚狭−長門市　　　　　＊完乗
・近江鉄道、全線　　　　　　　　　＊完乗

＊２回の九州行きで、九州島内の未乗区間は、博多南線、熊本電鉄、高千穂鉄道、九州新幹線（０４・３月開業）を残すのみとなる。
＊山陰西端部の未乗区間である山陰本線・江津−益田間、山口線・新山口−益田間は、０４・１月に走破を予定している。

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